2017年06月30日
谷、プロ1号
谷、プロ1号
2017年6月25日 紙面から

巨人-中日 7回表2死一、三塁、代打で左越えにプロ初本塁打となる3ランを放った谷。捕手小林(北田美和子撮影)=東京ドームで
興奮冷めやらぬ試合直後。バスへの道すがら、感慨深げに谷が口を開いた。「ホームランは打てないと思っていました」。謙遜の意味合いというよりは、率直な気持ちだろう。プロ10年目、31歳。269打席目にして初本塁打。試合を決める貴重な一振りだった。
4点リードで迎えた7回2死一、三塁。巨人ベンチが動き、森福にスイッチ。するとすかさず、代打・谷がコールされた。「ファーストストライクから積極的にいこうと思っていた」。初球。内角低めの直球をしっかりと上からとらえた。
「真芯だった。外野を越えたかなとは思いましたけど、まさか入るとは…」。バックスピンの効いた弾丸ライナーは低い軌道で左中間席へ飛び込む1号3ラン。ホームランボールはすぐにファンから返ってきた。「みなさんどうしてるんですかね。どうしようかな」。照れくさそうに笑った。
背中にまとうのは、野手では最も大きい番号。2008年の入団時は「36」だったが、14年から「70」に変わった。もう後がないという球団からのメッセージ。「ダメなら終わりということです」。当時はファンからサインを求められても、背番号は入れなかった。それほどの屈辱と焦燥感のはざまで、懸命にプレーするしかなかった。
http://www.chunichi.co.jp/chuspo/article/dragons/news/201706/CK2017062502000111.html