2016年12月29日
来季巻き返しへ見えた竜の改善点
来季巻き返しへ見えた竜の改善点
2016年12月29日 紙面から

肘を痛めた影響もあって成績が振るわなかった中日の大野
データスタジアム社のアナリスト・佐々木浩哉さん(33)による分析コラム。今年のラストとなる今回は、19年ぶりに最下位となった中日に、専門的なデータでメスを入れました。耳慣れない英語の指標にさまざまな数字…少々とっつきにくいかもしれませんが、きっと為になります!
来年の巻き返しに向けて、改善すべきポイントはどこにあるのか? 俯瞰(ふかん)的に強みと課題を整理しました。ポイントはそれぞれのポジションで「リーグの平均に比べて優れていたか、劣っていたか」という視点です。
RSAA(Runs Saved Above Average)という指標を用いて、先発・救援別にリーグ平均との差を測ってみました。田島慎二を中心とした救援陣は、リーグでもトップクラスの安定感を見せています。リーグ平均より年間で18・2点多く失点を阻止していて、これは広島の30・8に次ぐリーグ2番目に優秀な値となっています。
課題は、規定投球回到達者ゼロに終わった先発陣。リーグ平均に対するマイナス15・5はリーグ5位でした。先発ローテーションの理想的な運用は「優秀な投手(質)に多くのイニング(量)を担ってもらう」かたちですが、今年の中日は質も量も満足いくものではありませんでした。特に左の大野雄大が肘を痛めた影響などで防御率(質)、イニング(量)とも振るわなかったのは誤算となりました。来季は大野はもとより、新人の柳裕也の起用や2年目となる小笠原慎之介、今季不振だった若松駿太ら若手が頑張り、どれだけ底上げできるかが問われます。
攻撃面ではwOBA(weighted On Base Average)、守備面はUZR(Ulitimate Zone Rating)という指標を用いて、それぞれのポジションのリーグ平均との差を測りました。
おおまかな傾向として、中日は守備面でリーグの平均を上回る貢献を見せています(特に内野陣)。自己最多の131試合に出場し、ほぼ遊撃のレギュラーをつかんだ堂上直倫の守備面の貢献は大きく、遊撃のポジションで大きなプラスを計上しました。
課題は攻撃面にあります。打者にとって不利な環境であるナゴヤドームを本拠地としているハンディはありますが、それを差し引いても各ポジションとも打力不足が目立ちました。守備で貢献した堂上もバットでアピールできず、遊撃はリーグの平均より25・1点のマイナス。守備で稼いだプラスをすべて吐き出し、総合的に見てリーグの遊撃手の平均を下回る結果となりました。
http://www.chunichi.co.jp/chuspo/article/dragons/news/201612/CK2016122902000103.html