2016年12月13日
木下雄、愛娘のために
木下雄、愛娘のために
2016年12月12日 紙面から

記念写真に納まる(左から)山本、木下雄、妻の茜さんと娘の叶望ちゃん、岸本=名古屋市中川区の昇竜館で(篠原麻希撮影)
子連れルーキーがいた! 中日の新入団7選手が11日、ナゴヤドームと選手寮「昇竜館」などの施設を見学した。育成1位の木下雄介投手(23)=四国アイランドリーグplus徳島=は生まれたばかりの長女・叶望ちゃんを連れて見て回った。ドラフト5位の藤嶋健人投手(18)=愛知・東邦高=はかみ合わせを良くするために、歯を8本抜いて矯正していることを明かした。
ナゴヤドームに到着したバスから、ドラフト指名の7選手が次々に降りてきた。そのうちの一人、木下雄の手にはゆりかごが握られていた。中にはすやすやと眠る赤ちゃん。ドラフト会議の約3週間前、10月1日に生まれた木下雄の長女・叶望(かの)ちゃんだ。ベビーカーに乗せ替え、妻・茜さん(25)とともに施設見学した。
子連れ入団は2010年のドラフト5位・大島以来。ファンクラブ会員を前にした新入団選手の歓迎会で「うれしい気持ちと不安な気持ちがある。とにかく支配下を目指して頑張っていきたい」。新米パパは力を込めた。
今秋のドラフトでチーム唯一となる育成指名。そんな木下雄は苦労人だ。駒大に進学するも、環境になじめずに退部。大学も中退した。実家のある大阪に移り住み、アルバイトなどで生活。その後は不動産会社にも就職し、一度は野球から完全に遠ざかった。
だが3年前、不退転の決意で独立リーグの四国アイランドリーグplusに挑戦。「野球をやったらええやん」。バイト先で出会った茜さんのひと言が野球熱を再燃させた。「プロを目指すのは今年で最後やなと。プロに行けなかったら違う仕事をしようと考えていた」。最速150キロの直球とクセのないフォームで、同リーグで今季28試合に登板して計44イニング1/3を1勝2敗3セーブ、防御率3・45の成績を残した。
http://www.chunichi.co.jp/chuspo/article/dragons/news/201612/CK2016121202000009.html